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米民間再就職支援会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米国企業が10月に発表した人員削減数は15万3、074人で、前年同月比のほぼ3倍に達しました。その中心はテクノロジー企業と倉庫業でした。人員削減の理由としては、パンデミック期の採用ブームの反動で、雇いすぎた人員の整理と経費節減です。AI導入で賄うことができるポジションをなくし、上昇する人件費を削減して企業利益を最大化しています。このような動きが採用凍結と解雇へ、あるいは、正社員からパートタイムへ人材のシフトを進めているのです。また、採用の削減や早期退職制度の導入による人員整理も進めています。民間労働市場分析会社レべリオ・ラボが11月6日に発表したデータによれば、10月の雇用者数は約9,000人減少となり、シカゴ連銀公表の失業率も4年ぶりの4.4%へ上昇など、雇用の軟化を示すデータが出てきたことを受けて、株価が大きく下がりました。
中低所得層の可処分所得の減少と、先行き不安により消費が減少している現状では、関税分の価格上昇を消費者に転嫁すると売り上げが落ち込む恐れがあるので、多くの企業では価格増加分を吸収しているようです。そのため、インフレは心配するほど上昇しておらず、米国経済は落ち着いている様に見えますが、企業の、特に中小企業は苦しい戦いを強いられています。大手は人員の整理、正社員からパートタイムへのシフトなど人件費やその他の費用の削減で企業利益を確保する方向に向かっています。
リンクトインが今年実施した調査では企業の経営幹部の6割超がAIが将来的にエントリーレベル(未熟練者)の業務の一部を代替できると考えていることが分かりました。この動きは新卒や経験の少ない若年層の就職が今よりさらに難しくなりことを示唆しています。
米国企業の人員削減
| 企業名 | 業種 | 人数 |
| マイクロソフト | ハイテク | 15,000 |
| アマゾン | ハイテク | 14,000 |
| セールスフォース | ハイテク | 4,000 |
| オラクル | ハイテク | 3,000 |
| メタ | ハイテク | 600 |
| PwC | コンサルタント | 1,500 |
| UPS | 物流 | 48,000 |
| シティーグループ | 金融 | 20,000 |
| シェブロン | 石油 | 8,000 |
| P&G | 日用品 | 7,000 |
| エスティ―ローダー | 美容品 | 7,000 |
| インテル | 半導体 | 5,000 |
| GM | 自動車 | 3,300 |
| パラマウント・スカイダンス | メディア | 2,000 |
| ターゲット | 小売り | 1,800 |
| スターバックス | 外食 | 600 |
上記の様にパンデミック以来の大きなリストラが始まっている米国労働市場で、失業率が大きく上昇していないのには理由があります。それはトランプ政権の厳しい不法移民政策です。不法移民の取り締まりで、労働市場が人手不足になることを懸念しているエコノミストもいましたが、実際には景気の減速に伴い、労働者への需要が減少し、それと同時に労働者の供給も減ったので、失業率が上がっていません。労働市場の冷え込みはインフレによる賃金上昇圧力を低下させ、実質賃金も低下させています。今年からこの動きが強まって中低所得層の可処分所得が減少していることがクレジットカード残高の上昇、延滞率の上昇の原因となっているのでしょう。
クレジットカード、自動車ローン、学生ローンなどの延滞率は増加してはいるのですが、住宅ローンの延滞率はそれほど高くありません。しかし、家計債務の増加は、住宅ローンの借り入れを難しくするので、今後の不動産市場のさらなる低迷に繋がる可能性があります。住宅ローン申請で許可が出にくくなります。住宅ローン以外のローンの残高、延滞率が増加しているけれど、所得が比較的高く、或いは住宅価格の高騰で資産が増えた住宅所有者が、住宅金融市場を何とか安定させている状況です。
パンデミックでリモート・ワークが常態化したため、人々は、生活費が安く、住環境がよく、自然豊かなビーチタウンや郊外に引っ越してゆきました。しかし、今一部の人たちがまた都心に戻って来ています。オフィス復帰の命令が企業から出されたことも理由の一つですが、それだけではなく、仕事FOMO(Fear of Missing Out)と言われる、取り残される恐怖が人を都会へと戻していると言われています。もし職を失っても都市部なら再就職がはるかに容易だからです。また、活気と人脈作りは都会にいる方が断然有利です。転職がキャリア・アップと収入アップにつながるのが米国では一般的なので、不景気の足音が聞こえ始めてきたことからこのような動きが始まったと考えられます。ですから、都会から中西部や南部への人口流入はペースが落ちてきています。
一方で、企業は未だにフロリダ州やテキサス州など南部へ流出しています。民主党主導で高税率、規制の厳しい州は企業と住民の流出を加速させていると、JP モルガン・チェースのダイモンCEOがビジネスフォーラムで発言しているように、テキサス州の従業員数がニューヨーク州を上回っているのです。先週、ニューヨーク市長選挙で極左の市長が当選しました。家賃の値上げ凍結、バス無料、富裕層や大企業への増税、警察の廃止などを公約にしています。これほどではないにしてもカリフォルニア州も同様に左派の牙城で、企業や富裕層には居心地が悪い場所になっているため、企業の流出が止まりません。企業の移転は一定数の従業員の引っ越しを伴いますから、人口の流出にもつながります。左翼政策は経済的発展にはつながらないことは歴史が証明しているのですが。
米国では住宅購入はAmerican Dream達成への近道で、ローンの支払いは積立預金のようなものと認識がこれまで多くの人に共有されていましたが、パンデミック後、平均50%以上の物件価格の値上がりと、高金利の為、物件の購入の先延ばし、或いは諦めてしまった人たちが多くいます。そのため、物件の売買件数が低迷しています。もし、住宅ローン金利が下り、物件価格も大きく下がると事態は一気に好転するのでしょうが、このところのローン金利はじりじりと下がってはいるものの、皆が期待しているほどは速いスピードで下落していません。それでも、状況は徐々に好転しています。米国債が買われると国債の利回りが下がり、その利回りと連動している長期金利が下ります。その動きが住宅ローン金利を下げるのですが、FRBは銀行システムに10月最終日に1,250億ドルを追加注入しました。先のFRBの金融引き締めの中止と共に銀行の所謂流動性を改善させています。この動きは銀行の融資拡大、ローン金利低下につながります。12月のFOMCでは恐らく再度の利下げがあるでしょう。FRBの利下げはある程度住宅ローン金利に影響を与えます。
不動産売買が低迷しているとはいえ、その中でもよく物件が売れているいくつかの都市があります。その指標としては、回転率(1,000戸当たりの販売件数)で示され、以下が回転率の高い都市トップ5です。尚、2025年の米国住宅1,000戸当たりの平均は28戸で回転率2.8%となり、パンデミック前の2019年の平均40件と比較する31.2%も減少しています。
(出典:Redfin)
主要米国都市圏における最高回転率(2025年1月~9月)
順位 都市圏 1,000戸あたりの販売件数 前年比
回転率が高い理由は売買価格が他の都市圏より低く、比較的買いやすいからでしょう。
2008年のサブプライム・ローンによる住宅金融市場崩壊やITバブル崩壊を予測したことで知られるマイケル・バリー氏がここにきて沈黙を破りAIバブルの崩壊を予言しています。彼は、エヌビディアとパランティアの株式数百万株(11億ドル)をプットオプションに投じたと11月4日に発表しました。プットオプションとは簡単に言うと、先物予約をして売値を事前に決めておき株を購入する手法で、株価が下がればもうかる仕組みです。 彼の挙げた理由は主に3つです。
アメリカの景気判断の最も大事な指標は住宅の新規着工件数と言われています。先にも述べたように、住宅の売買は低迷、着工件数も減少しています。住宅ローンの延滞率は低いものの、クレジットカードの延滞率は12.41%と急増しており、50歳以上の学生ローン債務の20%以上が債務不履行となっています。債務不履行となれば、クレジットカード申請やローンができなくなるので、収入以上の買い物はできず、車の購入もできなくなり、通勤にも支障が出ます。20%の債務不履行は何百万人もの人がまともに生活できなくなることを意味します。個人破産も増えていいて、14万1,600件とコロナ依頼最悪です。しかし、株価は高騰し高所得者は資産を増やしていますが、AI導入によって、AI企業は人員削減をしているのです。就職が難しくなっている現状では、解雇されると、これまでIT関連で高給を取っていた人たちの収入がなくなり、住宅ローンが払えなくなる人も増えるでしょう。マイケル・バリーはこのような状況を冷静に見て、株式市場の現状を分析して、AIバブルの崩壊を予想したのだと思われます。
(出典:The Travel Pug)
Rates are current as of: 11/10/2025
Loan amount subject to county limits.
※ 2025年11月10日現在の金利
| 頭金 | 金利 |
|---|---|
| 50%以上 | 6.250% |
| 45% | 6.375% |
| 40% | 6.500% |
| 35% | 6.625% |
| 30% | 7.375% |
【ローン条件】
Remark:このプログラムは米国在住者も使えます。