米国景気後退が不動産投資に与える影響とは?雇用統計から読み解く市場動向

2025年12月16日
2025年12月15日時点の米国住宅ローン金利表。米国在住者向けおよび日本居住者も利用可能な外国人向けローン(頭金30%〜)の最新金利一覧
2025年12月15日時点の米国住宅ローン金利表。米国在住者向けおよび日本居住者も利用可能な外国人向けローン(頭金30%〜)の最新金利一覧

【経済の動き】

米国雇用統計発表

米国の政府機関が閉鎖されていたために、労働統計局(BLS=Bureau of Labor Statistics)から毎月発表される雇用統計の10月、11月分がまとめて12月12日の発表されました。その内容は11月の失業率が4.4%から4.6%へ上昇し、4年超ぶりの高水準となりました。確かに10月11月と大企業による従業員の一時解雇(Lay off)が報告されました。10月の失業率は政府機関の閉鎖の影響でデータ収集ができずに、失業率は算出できませんでした。しかし、雇用者数としては、10月に10万5000人減少。11月は6万4000人増で、エコノミスト予想の5万人増を上回りました。 しかし、このところほぼ毎月雇用統計が正式発表された後、下方修正されています。10月と11月の2か月間の数字を見れば労働市場は引き続き41,000の減少となっています。この数字を見て民間雇用は堅調な推移と言っている人がいますが、それはあまりに楽観的なのではないでしょうか。

雇用の現状

米国の報道ではこの結果はど利益が圧縮されて、利益を確保するために従業員の一時解雇や労働時間短縮を行っている。などと言われています。ちょっと待ってください。これはトランプ大統領が悪いのでしょうか? 

大企業は自社の株価を維持するため、利益確保して株主利益を守るために従業員を解雇しているのではないのですか?関税は増税だと言われます。関税によるコストが企業や、消費者に転嫁されると。以前にも記載しましたが、関税によるコスト増加分は輸出企業、輸入企業、消費者が割合は計算できませんが、それぞれ負担しています。関税は国内産業を守るためが第一義です。 政府は関税による税収は国民に還元すると言っていますので、その分が消費に回ります。これで辻褄があっていると思うのは間違いでしょうか?

関税を絶好の機会と捉えて、また、企業合理化のためのAI導入で従業員の一時解雇を進めるのは大企業の利益、株主の利益だけを考える悪い資本主義です。これが雇用を減少させている理由の一つだと考えられます。大企業のこのような自分本位、株主本位のやり方で被害を被っているのは庶民であり、中小企業です。

雇用統計の内容

運輸・倉庫の雇用が1万8000人減少しています。これは、宅配・配送関連の雇用減を反映しているようです。連邦政府の雇用は6000人減でした。10月は16万2000人大幅に減少しており、1月のピーク以降、 27万1000人減少しています。11月の時間当たり平均賃金は前年比3.5%上昇。10月は3.7%上昇となり、雇用の伸び鈍化は賃金上昇を抑制し、インフレ抑制に寄与する一方、 経済の主な原動力である個人消費にとっては逆風となる可能性があるとレポートされています。それを裏付けるように労働省によると、小売売上高が減速していると報告されています。

次回の雇用統計は2026年1月28日です。通常は11月12月は年末商戦のために、運輸、倉庫などのアルバイト雇用が増えるのですが、今年はその傾向がハッキリと出ていません。次回の雇用統計でさらに雇用減速、失業率上昇がみれれば、景気後退局面に入っているとハッキリ言えるでしょう。

サーム・ルール

景気後退が差し迫っていることを測る指標の一つにサーム・ルールというのがあります。多くの経済学者が使っている所謂経験則です。簡単に言えば失業率が0.5%上昇すると、景気後退が差し迫っているというものです。このルールは、過去の実績を基に割り出されていますので、確率は高いのです。米国の失業率は、2025年1月は4%でしたので、0.6%の上昇ですから、来年に入ってから2025年のデータが揃い分析が完了すると、2025年に景気後退入りしていたと発表されるのではないでしょうか。そうなれば、景気後退と消費減少が明らかになれば、インフレ上昇懸念が収まりますので、FRBはさらに利下げを続けてゆくと考えられます。

雇用統計の影響

これまで3回連続のFRBの利下げ後、米国債の利回りが上昇して、期待とは逆に住宅ローン金利が上昇していましたが、雇用統計発表後はDow工業株、S&P500は下落し、Nasdaqは若干上昇。金、エネルギー価格はやや上昇。ドル円はFRBの利下げを受けて、10日には157円に迫る勢いでしたが、154.57に上昇しています。長期金利の指標である米国債は利回りが下落しましたので、住宅ローン金利は若干の下落となりました。

【不動産・住宅ローン金利動向】

オフィスやホテルがアパートや住居へ

既存のビルディングの使用目的変更をアダプティブリユース(Adaptive Reuse )と言います。オフィスビルやホテルをアパートへ改修する取り組みがかつてないほどの勢いで拡大しています。2024年のデータでは約25,000戸がアパートに改修され、2022年の約2倍となっています。現在は、オフィスビルからアパートへの改修が約181,000戸、ホテルからアパートへの改修が約35,800戸、産業ビルからの改修が31,000戸と見込まれています。

2024年に最も多くの改装アパートが建設される都市トップ10

1 シカゴ 880
2 デンバー 789
3 フィラデルフィア 761
4 ダラス 698
5 ニューヨーク州マンハッタン 588
6 ミネアポリス 574
7 ボルチモア 550
8 ニューヨーク州アルバニー 546

上記のほとんどの場所の不動産価格、賃貸価格は下落しています。何故なら一般の居住用不動産、賃貸物件の建設などのほかにこのReuseによる物件供給が増えて、供給が過剰になっているからです。

用途変更への改修の主流はホテルからアパートへとなっています。金利の上昇による利払い金額の上昇、物価、人件費の上昇、特に商業ビルでは、空室率の増加による収入の減少などの理由で用途変更が急に増えています。2000年前半のバブル期には住宅不足から、アパートをコンドミニアムに変更するコンド・コンバージョンがはやりましたが、金利が高く物件の相場が急上昇した現状では、アパートの需要が勝っているので、アパートへの変更が増えているようです。約59,000戸がホテル、 オフィスビルからコンドミニアムへ変更されています。アダプティブリユースプロジェクトの37%以上がホテルからアパートメントへのコンバージョンで、次いでオフィスビルが約24%、工業ビルが約20%、学校が推定8%となっています。
出典:RentCafe

米国の住宅ローン金融業界の巨人ファニーメイ

米国では、住宅ローンを証券化し金融商品として市場で流通させています。ローン会社や銀行が一般のお客様に貸し出したモーゲージ・ローンは審査基準に沿ったものであれば、ファニーメイは買い取ってくれます。ファニーメイはそのローンを証券化し、金融市場で流通させます。この証券を不動産ローン担保証券(Mortgage Backed Security)と言います。ファニーメイのほかにもフレディーマックと言う会社もあります。この両者は現在政府の管理下に置かれて、Government Sponsored Entityと呼ばれ、この両者が発行する不動産ローン担保証券は政府の保証付きと捉えらており、FRBもこの証券を保有しています。 
      
そのファニーメイがサンフランシスコのオフィスをアラバマ州バーミングハムに移転を発表しました。またしてもカリフォルニアから他州への移転です。つい最近自転車業界のNo.1であるGIANTがカリフォルニアからコロラド州への移転を発表したばかりです。移転の理由はコスト削減と南東部全域の金融機関へのサービス向上が理由だと幹部が述べています。カリフォルニア州の税金、人件費、家賃などコストが高いことは周知の事実ですが、南東部の金融機関へのサービス向上が移転理由の一つという事は、今後この地域の住宅ローン件数の増加が見込まれているからでしょう。ますます、米国南東部の不動産市場は有望と考えていいと思います。私の所属するNew American Fundingでも南東部のローン件数は最近、常に上位を占めています。​​

ファニーメイは本社がワシントンD.C.にあり、資産4兆ドル以上、全米に8,000人以上の従業員を擁する世界最大級の住宅ローン金融会社です。アラバマ州にとっては大歓迎のクリスマスプレゼントというところでしょうか。

不動産投資の伝説的成功者バーバラ・コーコランの「黄金律」

不動産投資、特に事情が違う海外不動産投資については明確な成功への 黄金律(Golden Rule)は参考になります。ニューヨークの伝説的な不動産投資家であるバーバラ・コーコランさんの事例は参考になります。彼女の方針は明確です。「頭金は20%以上、購入日から家賃収入で費用がカバーできるような物件を購入する」というものです。レバレッジを効かせて、自己資金をできるだけ少額にして投資回収率を最大化するというよく言われている基本とは真逆です。活況を呈する市場で過剰な借り入れを避け、投機的な値上がりを追いかけないことです。

もう一つの基準は、まだ人気が出ていないけれど、明らかに上昇傾向にある地域の物件を探すことです。誰よりも早く成長する地域を見つけだすことです。例えば、新しいレストランオープンしている。スーパーマーケットが新規にオープンが予定されている、地下鉄敷設される、公園が整備されている、良い学校が移転してくる、優良企業が移転してくるなどなど、将来的に人口が増え、商業的な繁栄がもたらされる兆しを見て有望な地域を見つけることに注力すること。さらに、購入したら、短期ではなくて価格が上昇するまで保有し続けることです。有望な地域選択と市場の変動に耐えられるくらいの頭金の投入、不測の避けられない困難を乗り越えて投資を継続することができる場所選びの長期保有が成功のカギだと彼女は言います。不動産は長期投資が基本なんですね。当たり前のことと言ってしまえばそれまでですが、このルールに合わない物件は絶対購入しないと基本を守り続けて、長期保有した投資家だけが到達することができる成功があるのは事実です。

住宅ローン金利の動向

先週言いました様に、FRBが利下げを実施しました。その後米国債の利回りが下がり、ローン金利が下っています。次の注目点は日銀の利上げがあるかどうかです。恐らく高確率で日銀は利上げを実施するでしょう。予想としては、日銀の利上げの影響である程度の円高、米国株安、金価格の上昇と米国債の金利下落が起こるのではないかと予想しています。円で借り入れして利回りの高い米国株を購入する円キャリートレードがある程度巻き戻しされるのではないかと予想するからです。そうなれば、米国の長期金利が下り、住宅ローン金利が下ってくるでしょう。日銀総裁が今後の利上げ方針を明確に表明すると大きく円高、米国債高になり、米国の住宅ローン金利が下落するでしょう。

【国際ニュース】

米国のEU批判とEUの分裂

EU本部の政策に公然と反対しているハンガリーのオルバン首相の味方が増えています。これまで日本ではEU諸国は一枚岩と思われてきましたが、実はこのところに気候温暖化政策、コロナのワクチン強制、ガソリン車の製造中止と、EV車への転換など、EU本部の政策に不満がくすぶっています。自国の経済基盤を揺るがしてまでもウクライナ支援継続を強硬に推進するEU本部の和平交渉潰しに我慢がならず、今までEU本部の政策に対して鮮明に反対していたハンガリーのオルバン首相に続き、チェコとスロバキアもEUの独裁的な政策に反対を表明しました。スロバキアのフィツォ首相は、ウクライナに軍事資金を提供する欧州連のいかなる解決策も阻止すると表明しています。

欧州諸国がロシアとウクライナの命を“取るに足らないもの”として扱い、無意味な流血を長引かせている」と非難しました。ブリュッセル(EU本部)は「戦争屋」だとも言っています。この認識は米国をはじめとする、世界の保守派の共通認識になっています。「もし西ヨーロッパにとってロシアやウクライナ人の命が取るに足らないものであるならば、私はそんな西ーロッパの一部でありたくない」「交渉がどれだけ長引こうとも、スロバキアはウクライナの軍事費をEUが負担するこにつながるいかなる措置も支持しない。つぎのEU理事会において、私は今後数年間のウクライの軍事費を賄うことを含む、ウクライナの財政ニ―ズに対するいかなる解決策も支持する立場にない」と繰り返しました。フィツォ首相は保守主義者でははなく、ましてや、トランプ大統領の支持でもありません。チェコのバビッシュ首相も同様の発言をしており、ウクライナ支援に消極的無い、言い換えれば、ウクライナ戦争でウクライナ人、ロシア人の命を奪う戦争継続反対しているイタリア、スペイン、オーストリアなどEU本部の政策を批判しており、EU加盟国の中で亀裂が生じています。EUからの借金のため、表立って反対できない中小諸国を含めると、ウクライナ戦争継続支持は恐く英国、フランス、ドイツだけかもしれません。この3国では、現政権の支持が後退しており、戦争反対、移民反対の保守政党が勢力を伸ばしています。

この傾向は南米でも広がり始めており、日本も例外ではありません。世界は家族を中心に伝統文化を守り穏やかな生活を望む人たちが目覚めたようです。

【今日の豆知識】

野生の七面鳥が最も多く生息するアメリカ州トップ6

テキサス:ローンスター・ターキー王国
カリフォルニア:ゴールデンステートの七面鳥パラダイス
ケンタッキー州:ブルーグラスターキー・テリトリー
ミズーリ州:ショーミー州で七面鳥が大活躍
アラバマ州:ディキシー・ターキー・カントリーの中心地
ミシシッピ州:マグノリア州の七面鳥の楽園
(出典:Newsbreak.com

【米国住宅ローン金利】

米国在住者用の住宅ローン金利表

Rates are current as of: 12/25/2025
Loan amount subject to county limits.

Loans to: $806,500
30 YEARS FIXED
Rate:6.375Points:0.125
Rate:5.990Points:1.000
15 YEARS FIXED
Rate:5.875Points:0.125
Rate:5.375Points:1.375
5/6 ARM
Rate:6.250Points:0.250
Rate:5.500Points:1.250
Jumbo Financing
30 YEARS FIXED
Rate:6.125Points:0.000
Rate:5.750Points:1.250
15 YEARS FIXED
Rates:6.125Points:0.000
Rates:5.875Points:1.000
7/6 ARM
Rates:5.875Points:0.125
Rates:5.375Points:1.500
Loans to: $1,209,750
30 YEARS FIXED
Rate:6.375Points:0.125
Rate:5.990Points:1.125
15 YEARS FIXED
Rate:6.625Points:0.125
Rate:5.875Points:1.125
5/6 ARM
Rate:6.375Points:0.500
Rate:5.750Points:1.500
FHA Govt. Financing
30 YEARS FIXED
Rate:6.000Points:0.250
Rate:5.500Points:1.375
15 YEARS FIXED
Rates:5.750Points:0.000
Rates:5.250Points:1.250
5/1 ARM
Rates:6.625Points:0.250
Rates:5.500Points:1.125

外国人用ローン金利

※ 2025年12月15日現在の金利

頭金金利
50%以上6.375%
45%6.375%
40%6.500%
35%6.625%
30%7.125%

【ローン条件】

  • 3年の Prepayment Penalty
  • 固定資産税・火災保険はローンと一緒に支払う
  • 30年固定型・5年固定型・7年固定型の3つから選択(金利は同じ)
  • 投資物件用のプログラム(DSCR)

Remark:このプログラムは米国在住者も使えます。