米国GDP4.3%上昇の裏側と今後の住宅ローン金利・不動産市場の展望

2025年12月27日
2025年12月24日時点の米国住宅ローン金利表
2025年12月24日時点の米国住宅ローン金利表

【経済の動き】

 米国GDP予想以上の4.3%上昇

米商務省経済分析局(BEA=Bureau of Economics Analysis)の発表によると、関税政策による混乱が落ち着いて、底堅い個人消費や企業の設備投資が増えた為、GDPがエコノミスト予想中央値の3.3%を1%も超えて前期比年率4.3%増加したとのことです。対中関税の凍結、一部関税の撤回などにより個人消費がGDPを押し上げたという説明です。

この発表により、米国株価上昇、逆に米国債が売られて利回りが上昇しました。しかし、中身をよく見ると、不安がいっぱいです。個人消費が拡大したのは、医療などサービス支出が堅調だったためで、高齢化や医療費の高騰が理由でしょう。また、企業設備投資はコンピューター機器への支出が好調でしたが、AIデーターセンターへの巨大な投資が大きく影響しています。個人支出は懐に余裕があるときの支出ではなく、生活必需品、医療関係の支出が主で、自動車などの耐久消費財は減少、カリフォルニアの大手家電製品販売店の倒産や飲食店の不振などどう見ても経済が好調だとは言えない状況です。

本当にGDPは4.3%も伸びているのか?

ローゼンバーグ・リサーチの社長であるローゼンバーグ氏は政府支出と貯蓄の減少によって経済の根本的な弱さが覆い隠されていると言い、実際の成長率はわずか0.8%だと計算しています。 貯蓄を使った消費と可処分所得の停滞は見かけ上の消費ブームと矛盾するとし、予想より大きく低かった消費者物価指数のデータなどを考えると、政府支出や輸入データの意図的な操作があった可能性も在るかも?といっています。

米国中間選挙対策?

来年の11月に米国議会の中間選挙があります。現政権は上下両院で与党の共和党が何とか過半数を占めていますが、マスコミが毎日のように関税問題、物価の上昇、などトランプの経済政策の失策を言い募っている現状では、中間選挙対策として、米国景気は順調に伸びていることをアピールするために、政府データの意図的な変更があっても不思議ではないと勘繰りたくもなります。政府発表の強いGDPや順調に下落している消費者物価指数にも拘わらず、労働市場の軟化、可処分所得の減少は矛盾しています。かつてにぎわっていた大きなショッピングモールが閑散とし、まるで日本の地方都市のシャッター商店街のようになっているのを見ると、とてもGDPが伸びているようには思えません。確かに、世界のAI関連投資は米国が約8割を占めていると言われていますので、政府統計は間違っていないかもしれませんが、景気の先行きに楽観ができないと思います。今から来年にかけて企業の従業員一時解雇発表が順番待ちの状況です。

株高、米国債利回り

米国株は17日の雇用統計が発表された日は下がったものの、総じて大きな下落傾向はみられていません。未だに株式市場は強気ですが、米国債の利回りが高止まりし、ドル指標が弱含みさらに、FRBの利下げが重なり、金価格は上昇基調です。好調な経済指標は株高に繋がり、金利の下落は金価格の上昇圧力になります。しかし、米国債の利回り上昇は、国債価格の下落の動きを後押しし、ドル安に繋がっています。

FRBの利下げと日銀の利上げ

一般には日米の金利差がドル円相場を動かすと言われていますが、そのようにはなりませんでした。10日のFRBの利下げと19日の日銀の利上げにより、日米金利差が縮小しました。私は、日銀の利上げで、円キャリートレードの巻き戻しから、円高に振れる可能性が高いと思っていましたが、間違いでした。円キャリートレードの巻き戻しは起こらず、日本国債の利回りが上昇し、158円に迫る円安に向かいました。日本の片山財務大臣の口先介入の為、155円後半から156円前半まで円安が巻き戻っています。しかし、来年は日銀の利上げが継続されそうですので、円高へ向かう要素が見当たりません。160円突破する可能性が高くなってきました。日本の10年国債の利回りが上昇すると円安に向かう傾向がありますから、要注目です。

【不動産・住宅ローン金利動向】

米国主要都市で家賃下落

今年は複数の米国主要都市で家賃が下がりました。その理由は比較的高級なアパートの供給が増えたからです。住宅価格とローン金利の高止まりの為、当面は賃貸で我慢する住宅購入希望者が増えおり、比較的裕福な賃貸希望者は、供給が増えて新しく設備が整ったアパートへの入居を希望し、古いアパートへの入居需要が減ったため、アパートオーナーは家賃を下げて入居者確保に動きました。この家賃の下落と売り物件の値上がりが止まったことは消費者物価指数に大きな影響を与えています。何故なら、消費者物価指数の構成要素の40%が住居費であるため、関税による物価高を相殺するぐらいの影響があります。

どの地域の家賃が大きく下落したのか?

テキサス州オースティン、コロラド州デンバー、アリゾナ州フェニックスといった大都市に加え、フロリダ州ナポリ、ノースカロライナ州アッシュビル、サウスカロライナ州マートルビーチなどのリゾート地で賃料低下が報告されています。
(出典:CoStar

11月の住宅販売価格(中央値)

一戸建て住宅価格販売価格:$414,300(対前年1.2%上昇)

コンドミニアム販売価格:$358,600(対前年0.1%上昇)


北東部の販売価格:$480,800(対前年1.1%上昇)


中西部の販売価格:$319,400(対前年5.8%上昇)


南部の販売価格:$361,000(対前年0.8%上昇)


西部の販売価格:$618,900(対前年0.9%下落)


(出典:全米不動産協会(NAR)

住宅ローン金利の動向

FRBは月額約400億ドルの米短期国債を購入することを発表しました。 
これまで、FRBはコロナ禍で落ち込んだ景気を下支えするために、大量の米国債、不動産ローン担保証券、米国株などを購入し、現金を市場に供給してきました。米国債をFRBが購入して、その購入金額が市場に出ることにより、停滞した経済を回復させようとしました。そのため、FRBの資産が増えて、バランスシートが膨れ上がりました。大量の資金が市場に出たため、急激なインフレにもなりました。この状態を通常に戻すために、国債を売り、他の資産も売って市場に出回りすぎた資金を吸収する方向に舵を切りました。この一連の動きが米国のインフレを加速させたのでした。この資金回収をQT(Quantity Tightening)金融の量的引き締めといいます。このところの雇用統計を見ると高止まりする金利と関税による仕入れ価格の上昇などから、企業経営が厳しくなっており、また、金融市場でお金がショートし始めているため量的引き締めを止めて、国債を購入して市場に資金を再度出し始めるのです。FRBのこの動きは0.25%の利下げより大きな影響があると言われています。国債が買われると国債の利回りが下落するのです。今回は短期国債ですが、長期の金利にも影響が出るでしょう。さらに、Fannie Mae(ファニーメイ=連邦住宅抵当公社)、Freddie Mac(フレディーマック=連邦住宅抵当貸付公社)が住宅ローン担保証券(MBS=Mortgage Backed Security)の購入を始めます。この購入も住宅ローン金利を下げる作用があります。

FRBとFannie Mae, Freddie Macのオペレーションが住宅ローン金利を下げることになるでしょう。FRBの利下げよりも大きな影響があります。一般のニュースでは報道されませんが、これから住宅ローン金利が下る可能性が一気に高まっています。来年は期待できそうです。

【国際ニュース】

中国のレアアース禁輸

中国は巡航ミサイルを製造している米レイセオンにサマリウム磁石を供給してきました。他の米国の防衛関連企業への供給もしていましたが、現在停止しています。サマリウムが無ければ、トマホーク巡航ミサイルの生産もF35の製造もできなくなります。これまでかろうじてフランスの工場に保管されていたサマリウムを使って製造していましたが、それも供給量には限界があります。そのため、ペンタゴンは備蓄が枯渇する前に新たな供給源の開発を急いでいます。しかし、代替品が入手できず、ロッキード・マーティンはF35ジェット戦闘機の生産の中止を余儀なくされています。いくら米軍が最新兵器を開発しても、製造できないのでは話になりません。トランプ政権は焦っているでしょう。そのため、中国向けの半導体輸出規制を緩和せざるを得なくなっています。トマホーク巡航ミサイルが製造できなくなると、EUが米国から購入してウクライナに提供しようとしても無理でしょう。中国に米軍の殺生与奪の権を握られているのです。中国国内経済が崩壊状態でも、2025年の貿易黒字が1兆ドルを超える黒字で過去最高を記録しているのです。このレアアースがあるので、中国はG7諸国と強気の対応ができるのですね。トランプ政権は、カリフォルニア州のMPマテリアルズ社にサマリウム処理施設の拡張の為、1億5,000万ドルを融資し、インディアナ州のリエレマント社にも8,000万ドルの融資を決めましたが、いずれのプロジェクトも最低3年から5年の時間が掛かるようで、中国との関税交渉はこれからも紆余曲折があるでしょう。ただし、中国では習近平政権が危うく、内戦状態に入っているとのうわさもあり、いつまで政権が維持できるかも危うい状況のようです。2026年もウクライナ戦争、米中関税協議、中国の内戦、イスラエル紛争のみならず、EU諸国の経済崩壊、上がりすぎた米国AI関連株など引き続き大きな変化が起こりそうな状況です。

2026年は丙午(ひのえうま)で陰陽五行説では十干・十二支とも陽の火の性格を持つため、火の力が重なり、情熱や勢いが高まるエネルギーに満ちた年とされています。さて、来年はどんな年になるでしょう。

【今日の豆知識】

カリフォルニアからテキサスに移転した主要企業5社

1.テスラ(EV):オースティンへ

2.オラクル(ソフト・ウエア―):オースティンへ

3.チャールズ・シュワブ(金融):ダラスへ

4.シェブロン(エネルギー):ヒューストンへ

5.ヒューレット・パッカード(IT):ヒューストンへ

(出典:The Daily Overview

【12月24日の米国住宅ローン金利】

米国在住者用の住宅ローン金利表

Rates are current as of: 12/24/2025
Loan amount subject to county limits.

Loans to: $806,500
30 YEARS FIXED
Rate:6.125Points:0.375
Rate:5.875Points:1.500
15 YEARS FIXED
Rate:5.875Points:0.125
Rate:5.375Points:1.250
5/6 ARM
Rate:6.250Points:0.000
Rate:5.625Points:1.250
Jumbo Financing
30 YEARS FIXED
Rate:6.000Points:0.375
Rate:5.750Points:1.250
15 YEARS FIXED
Rates:6.000Points:0.125
Rates:5.625Points:1.250
7/6 ARM
Rates:5.875Points:0.125
Rates:5.375Points:1.500
Loans to: $806,500
30 YEARS FIXED
Rate:6.125Points:0.375
Rate:5.875Points:1.500
15 YEARS FIXED
Rate:5.875Points:0.125
Rate:5.375Points:1.250
5/6 ARM
Rate:6.250Points:0.000
Rate:5.625Points:1.250
Jumbo Financing
30 YEARS FIXED
Rate:6.000Points:0.375
Rate:5.750Points:1.250
15 YEARS FIXED
Rates:6.000Points:0.125
Rates:5.625Points:1.250
7/6 ARM
Rates:5.875Points:0.125
Rates:5.375Points:1.500

外国人用ローン金利

※ 2025年12月24日現在の金利

頭金金利
50%以上6.375%
45%6.500%
40%6.625%
35%6.750%
30%7.125%

【ローン条件】

  • 3年の Prepayment Penalty
  • 固定資産税・火災保険はローンと一緒に支払う
  • 30年固定型・5年固定型・7年固定型の3つから選択(金利は同じ)
  • 投資物件用のプログラム(DSCR)

Remark:このプログラムは米国在住者も使えます。