情報戦が揺らす市場―“真の原因”は何か?

2025年04月29日
株価をパソコンで見る人
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【米国経済の動き】~情報戦が揺らす市場―“真の原因”は何か?~

今週も変動が大きい金融市場でした。トランプ大統領、ベッセント財務長官、パウエル議長、FRBの理事など影響力のある人たちの一言で相場が大きく変わります。

しかし、考えてみれば、マスコミが相場を替えているとも言えそうです。株式下落、国債の価格が下落、ドル安=円高の流れは今も続いています。先週の流れから引き続き落ち着き始めてはいますが、やはり先行き不安な心理をあおるようなニュースが溢れています。

米国株式市場=ダウ971ドル安、トランプ氏のFRB議長批判受け

4月22日、主要なマスコミは上記のような見出しでトランプ氏のFRB議長批判が米株安、債券安の原因だと断じています。

通常なら、株安=景気先行き不安になると安全資産である米国債が買われます。世界の最強国である米国の国債はこれまで、金以外では最も安全な資産と思われてきました。しかし、今トランプ政権がやろうとしている大きな経済、金融構造改革によってその構造が変わろうとしている兆しがこの株安、債券安につながっていると思います。

トランプ氏のFRB議長批判、関税によるインフレ懸念はトランプ政策への反対派からの攻撃のように思われます。

主要マスコミがこぞって関税はインフレを高進させる、インフレで米国経済は壊れてしまうと言い続けているため、多くの投資家はトランプ関税が悪いものだと考えるようになっているのは確かのようです。

さて、我々不動産業界にいる人間にとって、長期金利の動向は最も気になることの一つです。このところ長期金利の指標である米国10年国債の利回りが、上昇しています。

株安の時には通常国債の利回りが下がり、ローン金利が下がるはずなのですが、今は逆を行っています。

先にも言いました様に、マスコミはトランプ大統領のFRB議長批判により米国債の信頼が揺らいでいことがその理由だと言っていますが、FRB議長批判は4月22日ですが、この国債利回りの上昇は4月の5日から顕著になっていました。ですから、トランプ大統領のFRB議長批判が米国債が売られている理由ではありません。

私が考える理由は以下です。

1.    マスコミ、トランプ反対派などが言い続けている関税によるインフレ懸念。 インフレになると元本保証の国債の価値が下がる為、利回りが上がります。

2.    中国など景気悪化により、貿易でドル収入を得ていた国は今後ドルの入手が難しくなり、ドル建てで購入している輸入品、たとえば原油、天然ガスなどのエネルギー、大豆、小麦、トウモロコシなどの食品の支払いにドルが必要なので、米国債を売っているようで、また、国内景気悪化に伴う株価下落を避けるために、米国債を売って、株の買い支えをしているという事です。

3.    中国以外の国も、米国の関税政策により、世界中の貿易量が減ってゆき、決済通貨としてのドルの需要がへってくると考えられます。そのため、米国債を準備資産として持っておくことの必要性が下がってゆくでしょう。そのため、今はドルが全面安となっています。

4.    2年国債など短期国債の利回りは下落していますが、10年、30年国債の利回りが上昇しています。これは米国経済の先行き低迷を予想していることの表れでしょう。先行き米国経済の低迷予想から今のうちに国債を売ろうとしている投資家がたくさんいるのも理由の一つでしょう。

5.    米国の支配を嫌っているEU諸国、BRICS諸国はこの機にのドルを売り、自前の経済圏の確立を進めるために売り、ドル売り、米国債売りを進める可能性が高いでしょう。

しかし、いったいどれぐらい大きく、長く米国はインフレに入ってゆくのでしょうか?

実際にはインフレの影響はほとんどないか、ごく短期的に若干の上昇がみられる程度だと私は考えています。

関税導入により既に価格の下落が見られているか、価格下落が期待されている品目もあります。例えば、ガソリン価格、牛肉、材木、木の家具、衣料品などです。

マスコミやトランプ反対派は大騒ぎをしていますが、恐らく米国の経済金融構造改革により不利益を被る既得権益者のトランプ叩きが今回の国債価格下落の原因の一つでしょう。そのニュースに驚いた投資家の緊急避難行動でしょう。 

トランプはインフレは低下している。高金利を続ければ大きな景気後退が来ると言っていますが、わたしも全く正しいと思います。

これは庶民視点です。富裕層視点ではそのようには見えません。

4月23日にはトランプ大統領はパウエルFRB議長を解任する気はない。ベッセント財務長官が中国との対立はいつまでも続かない。と発言したことから

株価は大きく上昇しました。先週言いました様に、株価の下落はAI関連で上がりすぎた株価の調整が一番の原因で、一時的な景気の下落を予想しているエコノミストや投資銀行の幹部の発言が副因でしょう。

実体経済を見てみると、かなり安定しており、まだインフレの兆候は見られません。レイオフ、企業倒産などもまだ起こっていません。関税の影響が出てくるのは来月以降だという意見もありますが、さて、どうでしょうか? 騒いでいるのはウォールストリート界隈の富裕層で庶民はこれまでと同様の日常生活を送っています。

【不動産・住宅ローン金利動向】 ~買い手優位の兆しと金利のゆらぎ―いま何が起きているのか?~

米国債が売られて、金利が上昇し、先週と比べて住宅ローン金利が平均0.25%上昇しました。しかし、短期の国債利回りは下がっているので、変動金利はやや下落、投資ローン金利も下がりました。

不動産価格は売主全米平均ではまだ下落していませんが、ほぼ横ばいです。しかし、売主の40%弱は何らかの値引きをして物件を売っています。

今はSeller’s MarketからBuyer’s Market への転換期に差し掛かっているようです。

また、以前にも触れましたが、自宅所有よりも賃貸が増えており、

全米平均では全世帯の34.3%が賃貸で、カリフォルニア平均は44%、賃貸比率が一番高いのはNew Yorkで51.9%、2番目はLos Angelesの51.5%

人口が多く、物件価格が高い地域が賃貸の割合が多いですね。そこで、全米の人口動勢を見てみると、全米50州の中で42州が増えています。

人口が減っている州は以下となっています。

人口の減っている州

1.         New York       

2.         Louisiana

3.         Hawaii

4.         Illinois

5.         West Virginia

6.         California

7.         Oregon

8.         Pennsylvania

人口が増えている州ベスト5

1.         South Carolina 1.69%

2.         Florida          1.62%

3.         Texas            1.55%

4.         Idaho             1.31%

5.         North Carolina   1.29%

6.         Tennessee      1.09%

7.         Utah               1.07%

8.         Georgia          1.05%

人口増加しているトップ8の州の不動産価格を見てみると、Florida、Texas, Georgia, Tennesseeで下落しています。

人口増加対応と将来的なさらなる人口増加を予想してアパート、住宅の建設が最も多かった州とほぼ一致しています。

さらに、弊社の今月のデータで最も住宅ローン申請が多かった街、ベスト5が以下になります。

1.    St. Louis, MO

2.    Braselton, GA

3.    Houston, TX

4.    Savannah, GA

5.    Phoenix, AZ

このデータから見て、不動産投資を考えた場合、Georgia州はポテンシャルが高いと考えて間違いないと思います。

【国際ニュース】~“自由と民主主義”の影で―選挙なきウクライナ政権への違和感~

ウクライナのゼレンスキー大統領は戒厳令と国民動員を3か月延長しました。これによって、国民が望んでいる大統領選挙は8月6日まで延長されました。

恐らく、ウクライナとロシアの停戦は8月以降になるのでしょう。これで戒厳令の延長は13回です。

これまで欧米はゼレンスキー大統領の任期切れに伴う大統領選挙回避を一切批判していませんが、トランプ大統領は選挙で選ばれていない指導者と批判し、プーチン大統領もこれまで、国民に選ばれていない大統領との直接和平会談を避けていました。

大統領としての地位を確保するため、他党を潰したり、政敵を追い出したり、戒厳令を使って大統領選挙を行わなかったり。

これが自由と民主主義を守るための戦争をしている国の指導者がすることでしょうか?

戦時中にもかかわらず、大阪万博にパビリオンを出展し、人とお金を費やすことができる国がどうして大統領選挙ができないのか?

この戦争の行方を国民に問う意味でも選挙を行い民意を確認することが自由と民主主義を守ることになるのでは? 

ゼレンスキー大統領は誰に動かされているのでしょう??? 彼を批判しているのは米国、ロシアですね。英国、フランス、ドイツは背中を押しているように見えます。  日本こそ自由と民主主義を守るためというのだったら、米国と共にロシア、ウクライナ双方に向けて一時停戦して、大統領選挙を行うことを提案したらどうでしょう????

【豆知識】~FRBの真実―“中央銀行”は政府機関ではない~

米国の中央銀行であるFRBは1913年ウイルソン大統領の時に設立されました。

しかし、国営ではなく、100%民営の私企業です。

株主は非公開。米国政府はFRBの株を持っていません。

米国在住者用の住宅ローン金利表

Rates are current as of: 2025年4月29日
Loan amount subject to county limits.

Loans up to $806,500

Conforming Loans vs Jumbo Financing

Loan TypeRatePointsJumbo RateJumbo Points
30 YEARS FIXED6.875%0.1196.500%0.009
30 YEARS FIXED6.500%1.1846.125%1.257
15 YEARS FIXED6.375%0.2536.375%0.134
15 YEARS FIXED5.875%1.2146.000%1.290
5/6 ARM6.750%1.4296.250%0.012
5/6 ARM6.000%2.4735.625%1.273

Loans up to $1,209,750

Standard Loans vs FHA Government Financing

Loan TypeRatePointsFHA RateFHA Points
30 YEARS FIXED6.875%0.0086.375%0.594
30 YEARS FIXED6.375%1.3416.000%1.348
15 YEARS FIXED6.625%0.6656.000%0.253
15 YEARS FIXED6.250%1.5015.500%1.312
5/6 ARM7.125%2.729N/AN/A
5/6 ARM6.750%3.006N/AN/A

外国人用ローン金利(2025年4月29日現在)

※ 3年のPrepayment Penalty あり

頭金金利備考
50%以上6.875%
45%7.125%固定資産税、火災保険はローンと一緒に支払う
40%7.125%
35%7.625%30年固定型、5年固定型、7年固定型
30%7.999%3つのプログラムから選択。金利は同じ
25%8.750%投資物件向けプログラム(DSCR)

Remark:このプログラムは米国在住者も使えます。

イターのご紹介

Yoshi Maekawa

Yoshi Maekawa

< 前川 嘉章⽒ の プロフィール >

1960年 兵庫県姫路市⽣まれ
1984年 同志社⼤学経済学部卒業
その後、近鉄航空貨物⼊社。1987年海外研修⽣としてLos Angeles航空⽀店に赴任、1992年に正式な駐在員としてSan Francisco 航空輸⼊⽀店に赴任。

1994年Los Angeles Ocean Export⽀店に⽀店⻑として移動。2001年帰国命令が出たのを機に退社。2002年カリフォルニア不動産取り扱い免許を取得して⽇系不動産会社にてローンコンサルタント業を始める。 1年後⽶系の不動産ローン専⾨銀⾏に転職。住居⽤、投資⽤不動産ローンのサービスを主に在⽶⽇本⼈の⽅に提供する。同時に、⽇系の不動産管理会社にてアパートなどの投資、管理業務の補佐を⾏う。

2008年所属する⽶系不動産ローン専⾨銀⾏がリーマンショックのあおりで倒産。いくつかの⼩規模な銀⾏を経て2010年からNew American Funding所属のローンコンサルタントとして現在に⾄る。
家族は妻と⻑男、⻑⼥の4⼈。妻以外は剣道有段者の剣道⼀家。
趣味は剣道と読書。住居はオレンジ郡のSeal Beach.