急激なドル安・円高の可能性

2025年12月8日

【経済の動き】

日銀の利上げがきっかけに円高が来る?

日銀が政策金利を大きく引き上げる可能性が言われています。これは何を意味するのでしょうか?日銀の利上げの予想と日本政府による経済対策のための国債の増発が日本の10年国債の利回り上昇に繋がっています。以前、国債の利回り上昇は国債の価格の下落を招き、通貨安につながると言いましたが、それとは別の要因として、ヘッジファンドや大手の投資家による円キャリートレードがドル円の動きに大きな影響を与えます。
債券市場は株式市場よりも大きく、この円キャリートレードはレバレッジを効かせて取引をしているヘッジファンドや大手投資家が多い為、一説には500兆円規模のお金が動くと言われています。金利が低かった日本で資金を調達し、金利の高い米国市場で運用するという動きが盛んにおこなわれていますが、日本の金利が一気に高くなった場合、円キャリートレードが急速に巻き戻る可能性があります。円の金利が上昇すると、支払いコストが大きくなり、レバレッジを効かせて実際の持金の何倍ものお金を借りている投資家は、マージンコール(返金要求)が起こると米国に投資していた株、債券を売って賄う事になります。そのために、ドルを売って円を買う動きが始まり、円が急激に高くなる可能性があるのです。それだけではなく、資金調達のために米国株が売られるでしょう。恐らく急激に値上がりし、大きな利益を得ているAI関連株が売られて、値を大きく下げるのではないでしょうか。米国債も売られるかもしれません。必ずそうなるとは言えないのですが、危険性は十分あります。今週から、来週にかけては大きな相場の変動には注意が必要です。海外送金、ローン金利の確定は日銀の政策金利決定会合の結果を待ってからの方が安全だと思います。

米民間雇用者数、11月は2023年以来の大幅減

12月3日に発表された、ADP(民間の給与計算会社)の11月の雇用者数発表では、予想に反して、従業員数50人未満の企業では12万人が削減というショッキングなニュースが出ました。このデータはFRBの利下げ確率を上げました。しかし、失業保険申請者数はほとんど横ばいとなっています。大企業のよる相次ぐレイオフの発表があったにも拘らず、失業保険申請者数が増えていないのはどういう言ことでしょうか?考えられるのは、十分な解雇一時金をもらった為、失業保険申請を遅れて提出しているのか、正社員からパートタイムへの変更が行われたのか。解雇を機に、引退をして失業保険ではなく、年金の申請をしているのか。AIによる人員整理、企業利益を確保する為の人員整理は明らかな傾向なので、当分雇用は弱含みとみて間違いないでしょうが、この状況が消費を大きく減らす動きになるかどうかはクリスマス商戦が終わって、実際の消費がどれぐらいだったかが教えてくれると思います。予想は消費は減少とみられています。

【不動産・住宅ローン金利動向】

アパート賃料が下落、空室率は過去最高を記録

アパートメント・リストの最新レポートによると、集合住宅市場への豊富な新規供給と需要の低迷により、空室率は上昇し、賃料は下落しています。レポートによると、11月のアパート賃料の全国中央値は10月比1%下落し、1,367ドルとなっています。これは4か月連続の下落です。一方、11月の集合住宅の全国空室率は7.2%となりました。レポートによると、アパート賃料は対前年比で1.1%下落し、2022年のピーク時からは5.2%の下落になっています。

月額賃料中央値は15年来で最大の下落

需要が低迷し、供給が増えたことが、空室率の上昇に繋がっています。「18歳から34歳までの層では、現在32.5%が家族と同居しており、これはここ数年で最高水準となっていることが需要の低迷の一因です。家族との同居が増えたのは、コロナ時の家賃の高騰とリモートワークの増加によるものでしょう。空室率の上昇は、若年層の就職難が家族との同居を増やしていることや、一部の地域では不況の為や、より家賃の低い地域への人口移動も要因の一つです。
(出典:CoStar/ https://www.costar.com

どの地都市の物件情報が最も多く検索されているか?

不動産管理ソフトウェア会社Yardiによると、最も検索された市場はシンシナティで、次いでジョージア州アトランタ、ミズーリ州カンザスシティとなっています。今後1-2年はアパートの建設は減少するでしょうが、雇用が安定するまでは、家賃の上昇する地域は限定的だと思われます。
(出典:Yardi) 

自宅購入希望者は依然として様子見

金利の下落と住宅価格の上昇利率が緩やかになったことから、販売件数は増えましたが、未だに、不動産市場は回復してきたとは言い難い状況です。地域差が大きくなっており、全体的には未だに販売件数は低迷しいます。住宅購入希望者は未だに、金利の下落と価格の下落を待っています。新築ならコストを割って販売することが難しいのですが、数十年前に今の3分の1以下の価格で物件を購入した売主は、物件を売らなければならない状況になった時、値段を下げて売ることは可能ですから、今のような市場では、値段を下げて売っても損はしません。これからも中古物件は値下げの余裕があると考えられます。このまま労働市場が不安定で、ローン金利が高止まりであれば、市場原理から言えば、物件価格が下がるのは十分あり得る動きですね。そのため、不動産の専門家の中には、2026年は物件価格が50%ぐらい下がる2008年よりひどい状況になると予想する人たちもいますが、大手の不動産会社、例えば、Redfin, Zillowや NRA(全米リアルター協会)などは、来年は緩やかに不動産市場は回復するとの予想を立てています。どちらを信じたらいいのでしょうか?

全米の住宅価格の推移 

平均的な収入の米国人が米国の人口上位50都市圏のうち18都市圏で住宅販売価格の中央値が下落しています。価格が最も下落したのは以下の都市です。

  • テキサス州フォートワース(前年比-3.9%)ダラス(-3.3%)
  • フロリダ州ジャクソンビル(-3.3%)マイアミ(-2.5%)
  • ワシントン州シアトル(-2.2%)

一方、販売価格の上昇幅が最も大きかったのはラストベルトと中西部で、特に、シンシナティ(10.5%)、ピッツバーグ(9.5%)、デトロイト(8.4%)、ミルウォーキー(8.3%)、クリーブランド(8%)で価格上昇幅が大きかった。理由は物件価格が低く買いやすいためです。
(出典:Redfin

住宅ローン金利の動向

米国時間の12月10日に開かれるFOMC(公開市場委員会)では、90%以上の高い確率でFRBが政策金利を下げると見込まれています。また、FRBが米国債の買い入れを再開することが決まっているため、住宅ローン金利下落の可能性も高まっています。これまでは、FRBが金利を下げても、ローン金利はそれほど下がって来ませんでした。しかし、FRBによる米国債の買い入れはその規模次第では米国債の利回りが下落し、長期金利の下落につながる可能性が大きい為、住宅ローン金利の下落が期待できます。また、日銀による政策金利の引き上げが、米国債に影響を与えることも考えられます。12月に日銀が0.75%の利上げをするかもしれないと予想されています。この状況をみて、海外勢が日本国債を勢いよく買っています。この日本国債買いの動きは米国債売りのうごきにつながり 、米国債の利回りが12月3日から、上昇しました。これは米国の住宅ローン金利の上昇につながってしまう動きです。今週はFRBの利下げ予想と来週19日には日銀の利上げが予想されていますので、予想が難しい展開になりそうです。

【国際ニュース】

米国の安全保障政策が大きく変わる

米国は、国家安全保障戦略を毎年発表しています。今年も発表されましたが、その内容は、かつてはワシントンを基軸とする世界観から、その対処方法を概説したものでした。しかし、今回の内容はこれまでとは違い、今まで、最も緊密な同盟国だったNATOに厳しく、敵国とみなしていた中国、ロシア両国に対しては柔軟な姿勢で臨んでゆく様なニュアンスが見られます。歴代政権が取ってきた伝統的な安全保障戦略から大きく舵を切り、アメリカファーストとして、米国の国益を追求する戦略への転換しました。軍事、資金、技術、情報、外国援助を整合して、グローバリズムとか自由貿易に過度に依存せず、相手国には負担を要請することが重要だとしています。アメリカが全世界の安全を一国で担う事を止めたという事です。国防と産業における優位性を回復し、米国の国益を最優先するための基盤強化に焦点を当てています。

日本の安全保障政策も変わる?

12月3日に驚くべき発表がありました。米国の新興軍事産業の会社であるAnduril Industries社が日本に進出するのです。この会社は、ピーター・ティールが率いる新興企業グループの一員である、パルマ―・ラッキー氏が創設した企業で、米国の同盟国で、製造業がまだ比較的強い日本にこの軍需産業が目を付けたのです。日本で何を作るかと言えば、効率が良く、安全で、安価な無人兵器です。ドローンなどの無人攻撃機を100%メイド・イン・ジャパンで製造をするというのです。日本のマスコミではこのニュースは未だ私は見ていません。

もちろん、日本政府は知っているでしょう。これを機に、日本も軍需技術を発展させてゆくのでしょうか?政府主導でないとそれは無理でしょうが、恐らく、それを進めてゆくのだと思います。左翼からの反対があるので、静かに、こっそりと進めているのでしょう。米国の安全保障戦略の変更が日本にも大きな影響を与え、これまでとは全く違う方向に向かってゆきそうです。米国一国の世界支配から、多極化へと向かって行っています。もはや、EU諸国はヨーロッパの極ではなく、ロシアが極になると考えているのでしょう。米国、中国、ロシア、インド、イスラエルが世界の極になるのではと言われています。さて、日本はアジアの極になれるでしょうか?

【今日の豆知識】

US Newsが選ぶ、2025年にアメリカで最も住みやすい場所

  1. Johns Creek, Georgia
  2. Carmel, Indiana
  3. Pearland, Texas
  4. Fishers, Indiana
  5. Cary, North Carolina
  6. League City, Texas
  7. Apex, North Carolina 
  8. Leander, Texas
  9. Rochester Hills, Michigan
  10. Troy, Michigan
  11. Sammamish, Washington 
  12. Broken Arrow, Oklahoma
  13. Ellicott City, Maryland
  14. Flower Mound, Texas 
  15. Pflugerville, Texas

(出典:US News & world report 

15位以内にTexasの街が5つも入っています。
州税がないことも影響しているのでしょう。